秋が近づく――Kanaseの庭
庭の外れに、生えている一本の柿の木。
調べてみると、どうやらこの地区に多い筆柿のよう。
桃クリ三年、柿八年。
実をつけるのはまだまだ先だと思っていた。
ところが、気づいたときには、もうたくさんの実をつけていて、
いつまでたっても実に気がつかない私を、笑っているみたいだった。
今年は干し柿にしてみようかと思う。
濃縮した果肉の甘味は、どこかデーツに似ている。
そのままでも美味しいけれど、
エナジーバーに入れてみたらどうだろう。
柿とカカオは、よく合う。
甘みと苦みが、互いを受け止めてくれるから。
このごろの秋は、短い。
やっと風が涼しくなったと思えば、すぐに冬になってしまう。
今年は、秋を味わえるだけの時間がほしい。
かなせの庭に帰る時間がほしい。
筆柿の青さも、干し柿の甘さも、
その間にある静かな時間も、
ぜんぶ、秋の記憶になるように。


